2015年1月のお正月休みに1泊2日で雲取山登山に
行ってきました。
雲取山といえば、東京都の最高峰(標高2017.09m)で
最西端に位置します(写真は無雪期のものです)。
雲取山は登山口へのアクセスが良いことから
人気があります。
今回は冬の登山ですが、実際に利用した登山道も含めた
ルートや、自分が登山をして感じた難易度などの感想を
書き綴ってみました。
特に、今回の山行は失敗談や個人的意見も含まれ、
かなりの長文なので、一般的な情報を知りたい方はこちらへどうぞ。
奥多摩周辺の登山道・道路状況の情報はこちらをご確認ください。
【雲取山】登山ルートは?
雲取山登山では数々のルートがありますが、特に有名なルートは3つあります。
1つ目は「鴨沢」から登るルート、
2つめは「三峰神社」から登るルート、
3つ目は車を利用するなら最短の「三条の湯」からのルートになります。
早速、失敗談になりますが、私は朝5時に起きて準備を始めました。
友人が、関西から夜行バスで朝6時半頃に新宿駅に到着する予定でしたので
間に合うように、新宿に向かいました。
新宿駅から奥多摩に行くのですが、土日祝日は便利なホリデー快速奥多摩という
便があり、7時44分の列車に乗る予定でした。
待ち合わせ時間の朝7時15分になっても友人は来ませんでいた。
携帯電話に連絡をしても、通じなかったため事故などの心配はしましたが、
もう少し待つことにしました。
結局、携帯が通じたのは朝8時を回った頃でした。その時の話では後もう少しで
新宿駅に着くとのことでした。
結局友人が新宿駅の待ち合わせ場所に来たのは、8時30分頃でした。
理由は、その日、関西地方は大雪でバスの到着が大幅に遅れたそうです。
確かに、今年は雪が多い年だったので、予測をしようと思えば出来たと
思います。山行は翌日からとか、時間的な余裕をもう少しとっておけば
良かったと思いました。
それが、一つ目の失敗です。その次に、考えなくてはならなかったのは
8時47分発のホリデー快速があったのですが、奥多摩駅に着くのが
10時30分頃になる予定だったため、目的地の雲取山荘に着くのが、
夜になってしまうことは分かっていました。
そこで、雲取山荘の連絡先に電話をして、到着時間が遅くなるので、
今回の山行は中止にしたいという連絡をしました。
ところが、その電話口の方は、到着が夜6時でも7時でも大丈夫だからと
言われるし、ヘッドライトがあればトレースはしっかりしているから
問題はないですとのことでしたので、ちょっと迷いましたが行くことにしました。
特に、天気図ではちょうど高気圧が移動してくることになっていて、
その日から数日間は天候が安定することは分かっていました。
最悪、ビバーク(野営)が必要でも大丈夫なように、装備の準備はしてありました。
(アウトドア用品のL-Breathでは現在クリアランスセール中です)
しかし、それが間違いの始まりでした。
雲取山に初めて登る、おすすめのルートは
今回、私たちも使った最も人気のある鴨沢からのルートです。
行き方は、奥多摩駅からバスで約40分ほどで
鴨沢バス停に着きます。
ちなみにタクシーもありますが、1社のタクシーが1台のみ
行き来をしています。
そのため、前の乗客が奥多摩駅のタクシー乗り場から出発して、
鴨沢バス停付近まで行ったとすると、タクシーが戻ってくるまで
往復約50分かかります。
それに奥多摩から鴨沢までのタクシー料金は5千円はかかります。
ただ、道路状況により路面が凍結していなければ、上部の駐車場まで
行ってくれるそうなので、必要な方は使うと楽でしょう。
鴨沢バス停で降りたら、バス停の横に登山客が使える
トイレがありますので、登山を開始する前に済ませて
おいた方がよいでしょう。その後、当分トイレはありません。
(トイレを管理をされている方と、お話をしたのですが、
登山後にトイレの外にある水道で、汚れた登山靴を
洗ってもよいそうです。その代り、使い終わったら
ゴムホースはきちんと丸めて所定の場所にひっかけて下さい
とのことでした。)
バス停には長椅子が置いてあるのですが、
その先に、階段があるので登っていきます。
階段を上りきると舗装された道があるので、右に行きます。
ちょっと違和感を感じるかもしれませんが、間違いではありません。
少し、登ったら今度は左に曲がります(回り込むように登っていきます)。
最初に歩くのは舗装されている道路ですが、そこそこの
斜度があります。
そのうちに、登山道が未舗装の登山道になります。
しかし、この道はまだ本当の登山道ではなく鴨沢バス停から
上部にある駐車場までのショートカット(近道)になっています。
駐車場付近に出るとまた舗装された道路に変わります。
そのまま真っ直ぐ道路を歩くと、本番の登山道入り口が
出てきます。
バス停からここまで約30~40分になります。
行先を示す看板がきちんとあるので安心です。
登山道に入るとほとんど道なりに歩きます。
もちろん登山なので地図は必要ですが、気を付けて
標識を見ればまず間違えることはないと思います。
緩やかな斜面を登っていくと、廃屋が左手に見えます。
登山道なので、広い道ではありません。それに、登山道の
谷側は急な斜面で崖のような場所もありますので、あまり端を
歩いたりしないほうが良いでしょう。
それとバランスには気を付けて、しっかりと歩を進めて下さい。
そこから樹林帯を1時間半程進んで行くと、広葉樹林のある
平地の堂所という場所にたどり着きます。
堂所から石灰岩が露出しているマムシ岩までの傾斜も緩やかですが、
ここまで3時間ほど登ることになるので、徐々に疲れも出てくると
思います。
次に、マムシ岩からは七ッ石小屋を避けるように、西側の巻き道を
進みます。これは七ッ石小屋経由で行くと、急な坂を通らなければ
ならなくなるからです。
この辺りから登山道が凍結している場所が増えてきたので、
軽アイゼンを使用しました。
(↑私が使用したアイゼンと同じタイプです。これで十分でした。
装着も簡単なのでおすすめです。)
しかし、ブナ坂に出ると左手にカラマツの群生地に出ますが、
途中からは登山道を隠す程に木が高くないため、太陽から日が差すため
雪は無く、その代わりに泥道になっていました。
道が広い個所は、なるべく柔らかい場所は避けながら歩きますが、
あまり登山道の端を歩くと、ところどころに木の枝が
飛び出しているので、気を付ける必要があります。
けれど、景色はとても良く、私たちが通った時間帯は夕方だったのと
天候が良かったので、夕焼けに映される稜線や富士山の
シルエットはとても感動的でした。
そのうち日が暮れた頃に、奥多摩小屋に到着しました。
ここで、トイレ休憩しました。(ちなみに奥多摩小屋のトイレには
照明がないみたいです。ヘッドライトの用意が必要です。)
奥多摩小屋には素泊まりができますし、近くでテント泊も出来ます。
付近にはテントが10張ほどありました。
(本格的なテントをお探しのかたはこちらを参考にしてみてください)
何故か、奥多摩小屋付近にいる人たちは、とても良さそうな一眼レフのカメラを
持っているのでお話を伺うと、何とその場所は富士山を撮影するのに
とても良い場所だというのです。
言われてみれば、奥多摩小屋付近からは富士山がとても立派に見えました。
それに加えて、日の出の富士山は、日の光の角度が絶妙にマッチして
富士山が赤く染まるそうです。
とても見たいと思いましたが、本来の目的地に向かって歩を進めます。
奥多摩小屋出発時は、辺りはかなり暗くなっていたので、
ヘッドライトを使って進みました。
ここからは段々急登になり、道はS字になっています。
S字の登山道わきには、土が高く盛ってあるようになっていて、
そこには細長い葉をもつ植物が茂っていました。
だいぶ疲労感を感じ始めた頃、急坂の一番高い場所に4つの
光る物体を目にしました。最初、それは何かと思ったのですが、
どうやら2頭の動物の目が、ヘッドライトに反射していたことが
分かりました。
雲取山は東京都ですが、かなりの奥地にあります。
何かしらの動物がいてもおかしくはありません。
1月に熊が出てくることは無いと思いましたが、
今、目の前にいる動物が何だか分からないと、とても不安になります。
私は、以前、北米に住んでいて雪山でのサバイバルキャンプで
自然の中で、コヨーテやクーガー等の捕食動物が住んでいる場所で、
過ごしたことがありました。
そのこともあり、恥ずかしながら気持ちは戦闘モードに入りました。
しかし、ここは日本、それに遠吠え等も全く聞こえなかったので、
気を付けながら先に進むことにしました。
しかし、その後、動物が出てくることはありませんでした。
今まで、山で熊や鹿、ヤギ、ヘラジカ、コヨーテ等色々な動物を見て
きましたが、暗闇に何だか分からない動物に出会うととても怖く感じられました。
今思えば、きっと鹿かキツネかタヌキのような動物だったのかもしれません。
話がだいぶそれてしまいましたが、子雲取山までが、急登でとてつもなく
長く感じました。
たぶん、周りが暗く景色も見れず、ただ雪の道を歩くことが疲労感を
増したのだろうと思います。
そして、約30~40分程なだらかな雪道を歩くと頂上のある
雲取山避難小屋に到着します。
夜だったので、山頂からは都心からの光がよく見えました。
山奥で見る都心からの光は、とても幻想的でした。
雲取山避難小屋から、比較壁緩やかな雪の斜面を歩いていると、
雪はとてもしまっていて歩きやすく、アイゼンがよく効きます。
足を接地するたびに「キュキュ」という音がしました。
もう遅くなっていたので、早々に雲取山荘に向けて、
今度は雪の登山道を下っていきます。
雲取山荘は雲取山の北側にあるので、向かい風の北風が
とても冷たく感じられました。
夜ということもあり、道は見えにくかったのですが、
所々、ロープやネットが張られていたので、道を間違えることは
ありませんでした。
しかし、下りは結構急で場所によっては岩や木をつかみながら
降りることもありました。
多分、頂上から30~40分程歩いたと思いますが、雲取山荘が
なかなか見えてこないので、一体どのくらいかかるのだろうと
思っていたら、突然、大きな山荘が見えてきました。
最後に、20段くらいの階段を降りると山荘入口があります。
時間は夜の7時頃になっていました。すぐに山荘に入る前に
アイゼンを外して雲取山荘の引き戸を開けて中に入りました。
中に入ると、遅くなったことを詫びました。すると、受付の人が
「遅い!」と一言。確かに、遅かったのですが夜7時くらいの到着に
なっても大丈夫とのことだったので、きょとんとしました。
これは何かおかしいと思い、「遅くなったので、今回の山行は中止に
しようと思ったのですが、遅くなっても大丈夫だからと言われたので
来たのですが。」と言うと、そんなことは聞いていないと言われてしまいました。
ここで気づいたのですが、ホームページに掲載されている番号は秩父に住んでいる
雲取山荘のオーナー宅へ通じる電話で、オーナから山荘に情報が伝えられていなかったのです。
(※山荘のホームページには、雲取山荘直通の電話番号が書かれていませんので、
遅れる可能性があるときは、山荘のオーナーに電話をして山荘のスタッフの
携帯番号を聞いてくださいとのことです。)
これは困ったと思いましたが、何とか分かってくれて食事の準備をしてくれました。
インターネットで雲取山山荘のことを調べると少し辛口の人がいることが書かれていて、
批判をする人もいましたが、受付の人に雲取山登山で遭難する人や亡くなる方も
いるんですよと言われた時、この方は事故が起こらないように注意を促しているのだと
思いました。
世の中はバランスで成り立っていると思わせるようで、山荘にはもう一人の甘口の人がいました。
その方は、自称ゴジラに似たおじさん(ご自分で言っていました)で、
滞在中、とても親切にしていただきました。
友人と食堂に入ると、暖かな部屋に温かな食事がならべてあって、とても有難く思いました。
もう本当にお腹が空いていて、名物ハンバーグ(色々な意見があります)が
高級料理に見えました。
それよりも温かなごはんとお味噌汁が、とても美味しく感じられました。
同じテーブルには、もう2人組の白人の方たちが食事をしていて、
やはり到着が遅れたそうです。
日本語が堪能で、もう13年も日本に住んでいるとのことでした。
出身地を聞くと、何と私が住んでいた国ではありませんか!
住んでいた町は違いましたが、私が住んでいた場所は観光地だったので
遊びに来たこともあってよく知っていました。
月並みですが、世の中は狭いです。
食事の後は部屋に行きましたが、有難いことに個室でした。
そこでも仲良くなった白人の方と温かいコタツに入りながら
消灯前まで、3人で話をしました。
とても楽しいひと時を過ごすことが出来ました。
雲取山荘の消灯は夜9時で、起床は朝5時半と聞いていましたが、
朝5時頃になると電気がつきました。
早速、出発の準備を始めました。ちなみに雲取山荘のトイレは
水洗ですが(トイレットペーパーは流さずに、所定のボックスに捨てます)、
洗面所が使えない(もしかしたら凍結するので冬だけかもしれません)ので、
顔を洗ったり歯を磨くことは出来ませんでした。
(キシリトールガムを持参していたので、噛んでいると多少口がスッキリしました。)
食事が出来たことは教えてくれないので、自分たちで食堂に行って確認をすると
もう他の登山客の人たちが食事をしていました。
食堂の人に今日はゆっくり食べていいよと温かい言葉をかけていただきました。
そのような言葉は心に響きます。
ご飯はおかわりが自由なのでお言葉に甘えさせていただきました。
そこでも、優しいゴジラのおじさんは話しかけてくれて、
とても嬉しく思いました。
食事を終えると、身支度を整えて山荘を出ました。
山荘を出るときは、例の辛口の方が見送ってくれました。
「お世話になりました。」と言うと、「また、来てください。」と
一言声をかけてくれました。
また、いつか来たいと思います。
帰りは、来た道を戻ります。今度は、日中なのでとても歩きやすかったのですが、
最初から急斜面を登ることになります。
山頂に着くと何組かのパーティが写真撮影をしていました。
山荘で一緒だった白人のパーティの方々もいたので、そこで、少し話した後、
さよならをしました。
帰りは、ここからほとんど下り道なので、比較的楽に歩くことが出来ました。
途中の泥道も固まっていて、歩きやすくなっていました。
ただ、登山は下りに事故が多いので、気を付けて歩きました。
途中、七ッ石小屋からの分岐点辺りでアイゼンを外しました。
その後も多少凍結してそうな場所もありましたが、アイゼンなしでも
問題はありませんでした。
下りもかなり長く感じたのですが、山頂から約4時間半で鴨沢バス停に
到着することができました。
今回の、山行は反省点が多くなりました。初歩的なことですが、
出発時間が遅くなるときは、山行を中止することも必要だと
改めて思いました。
幸いにも大きな事故はありませんでしたが、とにかく他人に迷惑をかけることだけは
避けなくてはならないと思いました。
もう一度、初心に戻ってこれからも楽しい登山を目指したいと思います。
【雲取山】難易度は?
雲取山登山で、特に技術的に難しい場所は見当たりませんでした。
しかし、一つ検討違いだったのが歩く距離です。
私は友人と3000m級の山々を登ってきていたので、
約2000mの雲取山は、それ程大変なイメージはありませんでした。
前もって、地図等で調べてはいましたが、出発地点の鴨沢の標高は
約550mで、雲取山頂上は2017mあります。
これは標高差にすると1467mになります。歩く距離も10km以上に
なります。
これは最初に身構えて行くのと、楽な気持ちで行くのとでは感じ方が
変わってくるのかもしれませんが、とにかく雲取山登山を
一言でいえば「長い」です。
坂はそれ程急には感じませんでしたが、歩く距離が長いため
結構体力を消耗します。
特に、雲取山に初めて行く方は、なるべく荷物を軽くして(必須な荷物はお持ち下さい)、
当日は、万全の体調で山行を行うことをおすすめします。天候も重要になります。
冬季登山の場合は、1月までが良いと思います。例年では2月、3月になると、
積雪量が増えて、山荘が閉鎖されてしまう期間もあったそうです。
雲取山荘にお泊りの場合は、出発前に連絡をして積雪量や雪面の
コンディションなどの確認をした方がよいでしょう。
雲取山荘のホームページはこちらへ
追加になりますが、三条の湯という場所もあって、こちらでは温泉に入れるそうです。
紅葉の季節は数々の綺麗に色づいた景色を見ることができるそうで、
人気のある季節になっています。ちなみに冬の登山客は比較的少ないそうです。
2017年4月追記
雲取山の標高が2017mなので、今年は雲取山の年と一部の
登山家の間で言われているらしいですが、きちんと前準備をして
特に初心者の方はご自身の体力と体調に相談してから山行に
臨んでください。
もし行くと決めた場合は、時間に余裕を持ってゆっくりとペース
配分に気を付けて歩く方が確実ですし、怪我予防(山行後の筋肉痛
も含む)になると思います。
季節的にも良くなってきたので、準備をしっかりして楽しい登山を
したいですね。
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